胸腔ドレーン看護の観察5ステップ【呼吸性変動とエアリークの見方】
胸腔ドレーンを挿入している患者さんを担当して、「何から確認すればいいの……」と固まった経験、ありませんか。
ボトルにいくつも部屋があるけど、どこの何を見たらいいの?呼吸性変動って?
仕組みさえわかれば、めっちゃ簡単やで。一緒に整理しよか。
胸腔ドレーンは、「何のためのドレーンか」が分かるだけで、観察の全体像がスッと見えてきます。怖がらなくて大丈夫です。
この記事で分かること
- 胸腔ドレーンの観察を5ステップで確認する手順
- 呼吸性変動とエアリーク、それぞれ何が正常なのか
- 皮下気腫・ミルキングなど、見落としやすい注意点
胸腔ドレーンが「わかる」になる仕組みの話
細かい勉強は後回しでかまいません。
まずこれだけ頭に入れてください。
胸腔ドレーンは、胸腔内にたまった空気や液体を外に出して、肺がしっかり膨らむようにするための管です。
そして、基本の「正常」はとてもシンプルです。
- 呼吸性変動 → あり
- エアリーク(泡) → なし
呼吸のたびに水封室の水面が上下する「呼吸性変動」が見えていれば、ドレーンがちゃんと働いているサインです。胸水などで入っている場合は、泡(エアリーク)は出ないのが基本です。
最初は「何を見たら正常なん?」ってなるよな。まずは"呼吸性変動あり・エアリークなし"が基本の形、って覚えとくだけで一気に見やすくなるで。
ボトルの構造と観察ポイントを図にまとめました。

図の下半分にあるとおり、水封より患者さん側(チューブ・排液室)は、すべて患者さんの胸腔とつながった1つの空間です。
息を吸ったり吐いたりすると、胸腔内の圧が変化します。ドレーンの先は胸腔の中につながっているので、その圧の変化が水封室の水面まで伝わって、上下に揺れます。これが「呼吸性変動」です。
逆に言えば、水封が外れると胸腔と大気が直通になってしまいます。だからこそ、接続の確認が大切なんです。
胸腔ドレーンの看護観察:5ステップで確認する
いざ観察するとなると、何を見たらいいか分からなくなるんだよね……
患者さん側から順番にたどっていく流れで見ると、観察が抜けにくいで。
① 刺入部がずれていないか
まず刺入部を目で確認します。
- ドレーンのマーキング(深さの目安の印)がずれていないか
- 固定のテープや縫合糸が外れかけていないか
- 刺入部周囲に発赤・腫れ・滲出液がないか
ドレーンがずれて浅くなると、きちんと排液することができません。「ずれてる気がする」と感じたら、自己判断せず先輩に報告してください。
② 皮下気腫ができていないか
刺入部周囲の皮膚に手を触れて、「ぷちぷち・ぷくぷく」とした感触(握雪感)がないか確認します。これが皮下気腫のサインです。
軽度なら、マーキングして経過観察のことが多いですが、急に広がってきた場合はすぐに先輩に報告します。
担当した患者さんで、上半身全体にびっしり皮下気腫が広がった方がいてん。本人はけろっとしてたけど、「ほんまにこんなに広がるんや……」ってびっくりした。毎回ちゃんと確認するのが大事やで。
エアリークと呼吸性変動に目が向きがちですが、刺入部のずれと皮下気腫の確認も忘れないでください。ここが抜けやすいポイントです。
③ ドレーンに漏れ・破損がないか確認しながらたどる
刺入部からボトルまでドレーンをたどって、接続部の緩みやチューブのヒビ・折れがないかを確認します。
ドレーン内に血塊や排液が詰まっている場合は、ミルキングを適宜行います。詰まりがあると排液・排気が妨げられるので、たどりながら確認する習慣をつけましょう。
また、ボトルは絶対に倒さないよう注意します。逆流のリスクがあるので、固定や置き場所もルーティンで確認してください。
④ 排液の量と色を確認する
ボトルの目盛りで排液量を確認し、前回と比べて急激な増加がないかをチェックします。
排液の色も見ますが、呼吸器内科ではまず「量」と「いつもとの変化」をしっかり見るところから始めれば大丈夫です。
色を見るときは、ボトルにたまったものより、チューブ内に出る新しい排液のほうが正確です。
量が急に増えた・急に止まった、というときは先輩に報告してください。
ちなみに術後(外科)のドレーンやと、排液の"色の変化"が出血を早く見つける超大事なサインになるねん。科によって見るポイントが変わるの、面白いやろ?
⑤ 吸引を一時停止して、呼吸性変動・エアリーク・吸引圧を確認する
最後に、吸引を一時停止した状態で確認します。(電源を止める前に先輩に一声かけておくとスムーズです)
呼吸性変動:息を吸うと水封室の水面が上下に動くかどうか。動いていれば、ドレーンが正しく機能しているサインです(基本は「あり」が正常)。
呼吸性変動が見られないときは、すぐに異常と決めつけず、まず患者さんの体勢を変えたり、咳や深呼吸をしてもらって変動が出るか確認します。
それでも変動が出ないときは、チューブ内の詰まりか、ドレーン先端の位置の問題が考えられます。
まずミルキングを試し、改善しなければ先輩・医師に報告してください。
必要に応じてレントゲンで先端の位置などを確認して判断する流れになります。自己判断はしないことが大切です。
エアリーク:水封室に出る泡のことです。胸水など空気漏れがないケースでは泡は出ないのが基本で、新しく泡が出てきたら接続の緩みなどを疑って報告します。(気胸など空気が漏れている場合は正常です。次の章で説明します)
吸引圧:指示の圧が保たれているかを確認します。確認が終わったら、吸引を元に戻すことを忘れずに。
気胸の患者さん:エアリークは出ていて正常
ここまで「エアリークは基本なし」と説明してきましたが、例外があります。
それが気胸です。
気胸は、肺から漏れた空気が胸腔内にたまって、肺が膨らめなくなった状態です。そこにドレーンを入れると、たまっていた空気が泡(エアリーク)となって外に出ていきます。
だから、気胸の患者さんのドレーンからエアリークが出るのは、正常です。
気胸では「エアリークあり」を異常と勘違いしないことが大切です。
ただし、以下の変化は必ず先輩に報告してください。
- エアリークが急に増えた
- 一度治まっていたのにまた出始めた
- 呼吸性変動が突然なくなった
仕組みを知っているかどうかで、報告の質は大きく変わります。
異動先でリーダーをしていたとき、後輩から「呼吸性変動なしです」と報告されたことがありました。しかも、夕方になってから、です。
いやいやいや、それすぐ言うて!(笑)詰まりや先端のズレかもしれへんのに、治療に影響するで。
本人はまったく異常と思っていない様子でした。仕組みを分かっていないと、異常を「普通のこと」として流してしまう。それが一番怖いことだと、コアラ先輩は感じています。
まとめ:仕組みが分かれば胸腔ドレーンの観察は怖くない
胸腔ドレーンの観察を5ステップで整理します。
- ① 刺入部がずれていないか
- ② 皮下気腫ができていないか
- ③ ドレーン全体に漏れ・破損がないか(ミルキングも適宜)
- ④ 排液の量と色に変化がないか
- ⑤ 吸引を一時停止して→呼吸性変動・エアリーク・吸引圧を確認
基本は「呼吸性変動あり・エアリークなし」。気胸など空気漏れがあるときはエアリークも正常です。大事なのは”いつもとの変化”に気づくことです。
難しいことをしているわけではありません。仕組みが分かれば、見るべきものは自然と分かってきます。だから胸腔ドレーンは、早めに仕組みだけでも押さえておいてほしいです。
呼吸器内科での勉強の全体像と優先順位はこちらにまとめています。
酸素療法とセットで覚えておくと、呼吸器内科の現場でかなり動きやすくなります。
→ 酸素療法の基礎を看護師目線でまとめた【デバイスと流量早見表】
胸腔ドレーンも酸素療法も、覚えることが多くて「呼吸器内科、しんどいな」と感じる日もあると思います。もし気持ちがつらくなったときは、こちらの記事ものぞいてみてください。
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