血液ガスの読み方【看護師1年目が最初に覚えるべき2つの値】
言われるがまま血ガス介助に入ったけど、実際に何の数値を見ればいいのか、全然分かっていない……。
コアラ先輩が1年目のときの正直な気持ちです。
血ガスって、介助には立ち会えても「読み方」で固まる人がとても多いです。
結果が出ても、どの数値をどう見ればいいのか、分からなくて……
全部一度に読もうとしなくていいで。まず2つだけ覚えたら大丈夫。
この記事で分かること
- 血液ガス分析で何を見ているか(仕組みの入口)
- 1年目がまず覚えるべきPaO2・PaCO2の基準値
- 酸素投与中に気をつけるポイント
- pH・HCO3・BEへの1年目らしい向き合い方
血液ガス分析は「今の呼吸の状態」を数値で見る検査です
血液ガス分析(血ガス)とは、動脈血を採取して、血液中の酸素・二酸化炭素・酸塩基平衡の状態を調べる検査です。
日頃モニターで確認しているSpO2は、指先での推定値。
一方、血ガスは実際の動脈血を採取して分析するため、より正確な呼吸の状態を把握できます。
「SpO2は問題なさそうに見えたのに、血ガスを取ったらCO2が溜まっていた」ということも実際にあります。
患者さんの呼吸状態が変化したとき、または治療の効果を確認するタイミングで採取されることが多い検査です。
「血ガスの結果が出たとき、何を確認するか」という感覚を早めに持っておくと、現場でも動きやすくなるで。
血液ガスの読み方:1年目はPaO2とPaCO2の2つから始める
血ガスの結果には、pH・PaO2・PaCO2・HCO3・BEなど、複数の値が並んでいます。
最初から全部を覚えようとすると、確実に混乱します。
1年目は、まずPaO2とPaCO2の2つを見る習慣をつけることから始めてください。
この2つを「正常かどうか」「前回と比べてどうか」という視点で見られるようになるだけで、先輩への報告がぐっとしやすくなります。
| 項目 | 正常値の目安 | 見るポイント |
|---|---|---|
| PaO2(動脈血酸素分圧) | 80〜100 mmHg | 血液の中に酸素がどれくらいあるか |
| PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧) | 35〜45 mmHg | CO2がどれくらい溜まっているか |
※いずれも目安の正常範囲です。患者さんの状態や施設によって異なる場合があります。
PaO2(動脈血酸素分圧):血液の中にどれくらい酸素があるか
PaO2の正常値の目安は 80〜100 mmHg です。
PaO2が低いということは、肺で血液に取り込まれた酸素の量が少ない状態を意味します。
SpO2で「酸素が足りているかどうか」をおおまかに把握していますが、PaO2を確認することで、その根拠をより正確な数値として見ることができます。
何より大切なのは、一度の値だけでなく「前回と比べてどうか」という経過の変化を見ることです。
改善しているか、悪化しているかを先輩に報告できると、観察の質が一段階上がります。
SpO2と血ガスのPaO2は、どちらも「酸素」を見てるんやけど、血ガスの方がより正確やで。モニターでは見えへんことが、血ガスで見えることがあるんよ。
PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧):CO2がどれくらい溜まっているか
PaCO2の正常値の目安は 35〜45 mmHg です。
CO2が体内に慢性的に溜まりやすい患者さんを受け持つ場面では、PaCO2は特によく注目する値です。
私も1年目のとき、正直PaO2とPaCO2しか見れてなかったで(笑)。でも、この2つを意識できると気づけることがめちゃくちゃ増えるよ。
酸素を投与している患者さんは、PaO2の「高すぎ」にも注意
酸素を投与している患者さんは、当然PaO2が上がります。
ただし、「高ければいい」というわけではないのです。
高い濃度の酸素が長く続くと、肺に負担がかかること(高酸素性肺障害)が知られています。酸素は「足りていればそれでいい」もので、多ければいいものではないのです。
だからこそ現場では、酸素を流しっぱなしにせず、血ガスで酸素の状態を確認しながら、医師が酸素の量を調整していきます。人工呼吸器を装着している患者さんで、定期的に血ガスを採って酸素濃度を調整していくのも、まさにこのためです。
「酸素=とにかく体にいいもの」って思いがちやけど、多すぎても体には負担なんよ。だから"ちょうどいい量"を血ガスで確かめながら調整していくんやで。
さらに、COPDなど慢性的にCO2が溜まりやすい既往がある患者さんでは、もう一つ注意が必要です。
CO2が過剰に体内に溜まると、意識や覚醒に影響が出ることがあります。
これをCO2ナルコーシスといいます。
ただし、その変化は「なんか眠そうかな?」くらいの微妙なレベルで始まることがあります。
昼夜逆転など別の理由でも似た状態になるため、「どっちだろう……」と判断が難しいケースも少なくありません。
コアラ先輩の経験談:SpO2だけでは見えなかったもの
私が日勤で受け持った患者さんで、「ちょっと傾眠かな?」くらいの状態が2日引き継がれてたことがあってん。昼夜逆転もある方やったから、そのせいかなってなんとなく流れてたんよ。
どうして気になったんですか?
その方、少量やけど酸素投与してて、COPDの既往もあってん。SpO2だけ見てたら「酸素投与やめたらSpO2下がるし、止められへん」状況やった。でも傾眠があること、COPDがあること、これが気になって。「一応先生に血ガスの相談してみてもらえませんか」ってリーダーに声かけたんよ。
そして先生が血ガス採ってくれたら、CO2が溜まってて、PaO2も上がりすぎてた。SpO2だけ見てたら絶対気づかれへんかったことが、血ガスで見えたんよ。先生が酸素投与を一旦止めようって判断をしてくれて、その後患者さんの状態も落ち着いてきたんよね。
SpO2だけじゃ分からないこともあるんだね。
「SpO2の数値だけでは見えない部分」が血ガスには映ることがある、という感覚を持っておいてください。
「なんとなく眠そう」「いつもより反応が鈍い」と感じたときは、その観察を先輩・医師にそのまま伝える。
また、担当する患者さんの既往歴・現病歴を事前に把握しておくことも、観察の質に直結します。
酸素デバイスの選び方やCO2ナルコーシスのリスクについては、こちらの記事で詳しくまとめています。
→ 酸素療法の基礎を看護師目線でまとめた【デバイスと流量早見表】
pH・HCO3・BEは「こういう値もある」くらいの理解でOK
血ガスには、酸塩基平衡(体が酸性・アルカリ性に傾いていないか)を見るための値も含まれています。
- pH:血液が酸性・アルカリ性どちらに傾いているかを示す値(正常値の目安:7.35〜7.45)
- HCO3(重炭酸イオン):腎臓が酸塩基のバランスを調整しているかのサイン
- BE(塩基過剰):体内の酸性・アルカリ性のゆとりを示す指標
これらは呼吸と腎臓の両方が絡む解釈が必要で、慣れるまでに時間がかかります。
1年目のうちは「こういう値もあるんだな」くらいの理解で大丈夫です。
先輩が確認している場面を横で見学しながら、少しずつ感覚をつかんでいきましょう。
pH見て「アシドーシス?アルカローシス?」ってパニックになる1年目の子、見てきたで(笑)。まずPaO2・PaCO2から慣れていったらいいよ。
まとめ:血液ガスは「あやふやにしない」ポイントの筆頭です
血液ガスの読み方を整理します。
- PaO2(目安:80〜100 mmHg):血液中の酸素量。低いと酸素不足のサイン
- PaCO2(目安:35〜45 mmHg):CO2の量。高いとCO2が排出できていないサイン
- 酸素投与中の患者さんは「高すぎ」にも注意。気になる変化は必ず先輩・医師に報告を
- pH・HCO3・BEは慣れてから先輩と一緒に理解を深めればOK
PaCO2を日頃から意識して見ることで、CO2の貯留に早く気づける観察眼が育っていきます。
全部いっぺんに覚えなくていいです。
まずPaO2とPaCO2の正常値を頭に入れて、「前回と比べてどうか」を先輩に伝える習慣をつけることから始めてください。
それだけで、1年目の観察は大きく前進します。
呼吸器内科の勉強の全体像と優先順位はこちらにまとめています。
知識を少しずつ積み上げていくのは、地道な作業です。
途中で「しんどいな……」と感じる時期は、誰にでもあります。
気持ちがつらくなったときは、こちらの記事もそっと読んでみてください。
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